韓国屈指の造船と自動車の街、蔚山に訪れた底なしの不況……韓国全体の未来がそこにある可能性

成長が止まった蔚山の街、「日本病」を患う(朝鮮日報)
 韓国南東部の蔚山市でインテリア用の壁紙を納入する事業を営んでいたAさん(44)は、1カ月前に会社をたたみ、仕事を探している。一時は従業員6人を雇い、年商6億-7億ウォン(約5500万-6400万円)を上げていた会社の社長だった。しかし、数年の間で売れ残りの住宅物件が増え、流通・産業団地の造成も相次いで撤回され、稼ぎが4分の1にまで落ち込んだ。従業員に1人、2人と辞めてもらい、今年からは自分1人だけが会社に残っていた。Aさんは「海底の地下室」をさまよう蔚山の地元景気の直撃を受けた市民の1人だ。 (中略)

 韓国経済がデフレ初期に入ったという懸念が高まっている。韓国政府と青瓦台は「韓国経済は善戦している。デフレを論じるのは無責任な態度だ」と言い張るが、既にデフレが訪れた場所がある。数年間韓国を支えてきた工業都市・蔚山だ。

 全国の物価上昇率は8、9月の2カ月連続でマイナスを記録したが、蔚山は既に8カ月連続でマイナスだ。今年2月から9月までマイナスが続いた。蔚山市の9月の物価上昇率はマイナス1.0%で、全ての広域市・道で最も低かった。デフレは物価が力なく下落し、経済が活力を失い、低成長の泥沼にはまる状況を指す。日本が「失われた20年」に経験した長期不況そのものだ。音もなく近づき、経済を崩壊させることから「沈黙の殺人者」と呼ばれる。

 蔚山は成長がストップして久しい。2011年の経済成長率が7.9%を記録して以降、16年まで年平均成長率が0.5%にとどまった。17年にはついにマイナス0.7%に転落した。重工業、自動車、石油精製など主な輸出産業がけん引する経済構造だけに、輸出環境が悪化した際に景気が揺らぐことこそあったが、最近のように長期間停滞局面に陥ったことはなかった。 (中略)

 蔚山の人々は成長が止まった都市でこれからどうやって暮らしていくのか悩んでいる。半導体、自動車などの主力産業による輸出に依存してきた韓国経済全体のこれから直面する苦悩に通じる。今年に入り、蔚山市の人口は7000人以上減少し、余裕がある蔚山市民は釜山まで出掛けて消費している。こんな状態が続けば、結局は日本のように家計所得、企業所得が減少し、さまざまな社会問題が起きかねない。
(引用ここまで)


 蔚山(ウルサン)といえば現代財閥のお膝元です。
 ヒュンダイ自動車、現代重工業といった優良企業を地元に抱え、長年に渡って韓国でもっとも栄えた地域として知られていました。
 2009年から2015年までソウルよりも蔚山の収入が高かったほどです。
 通貨危機の頃もあたかも別の国の出来事であるかのように眺めていた、なんて話もあるほど。

 ただ、蔚山の地方企業という色がつくことを嫌って、ヒュンダイ自動車はソウルに巨大な敷地を1兆円で確保して本社ビルを建設。それもあの江南のど真ん中に。
 現代重工業は大宇造船海洋と合併し、韓国造船ホールディングスになりましたがこれもソウルに本社を置く形になりました。
 どちらも蔚山を捨てる形になっているのですね。

 まあ、成長が止まったのはそれらの本社機能移転が原因ではなく、長きに渡っての不況が原因ですが。
 ヒュンダイ自動車は成長路線が終了し、造船も不況に陥ってから長い。
 典型的な「ラストベルト」となっているのですね。
 これは大宇造船海洋とサムスン重工のある巨済島でも同様で、暴動すら起きるのではないかと危惧されているほどでした。

 単純に不況というわけではなく、地域として地盤沈下しつつあるというのが実際です。
 もちろん、ムン・ジェイン政権による経済政策のダメさ加減というのはあるのですが。
 それ以前に韓国の産業構造自体がダメになりかけているのではないか、という感触がありますね。
 その証左として挙げられるのが、外需頼りなのに世界経済との成長率乖離が最大になったこと。

韓国政府は対外経済を理由に…世界成長率との差21年ぶり最大(中央日報)
世界の経済成長率と韓国との差はさらに広がっている。IMFは今年の世界経済成長率を3.0%と予想した。韓国の成長率予測値は2.0%だ。世界の成長率を1.0%ポイントも下回る。

従来の数値を見ると危機感はさらに強まる。世界銀行の資料によると、1980年から昨年まで韓国の経済成長率が世界の経済成長率を1%ポイント以上下回ったのは2度にすぎない。オイルショックの影響を受けた80年(-3.6%ポイント)とアジア通貨危機の衝撃を受けた98年(-8.03%ポイント)だ。
(引用ここまで)

 もちろん、法人税増税や最低賃金上昇といった政策でムン・ジェイン政権がその傾向に拍車をかけているという面はありますが、根本的な問題が生じているように感じます。
 蔚山の不況、というのは韓国全体の先駆けとして現れているように思えるのですよね。

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